2026.03.10 SPECIAL TALK 松居大悟 × 玉置玲央 × 鳥越裕貴【VOL.03】
作家、演出家、俳優、スタッフ……。ゴーチ・ブラザーズに縁の深いカンパニーが取り組む舞台『ポルノ』のクリエイション。同じ事務所に所属し、かねてから『ポルノ』の上演に意欲を抱いてきた松居、玉置。そこに新たに加わった鳥越の3人が集結。同期、先輩、後輩――それぞれの視点から、作品とカンパニーへの思いを語り合った。
第3回 稽古を前に交錯する、それぞれの考え
第3回のテーマは、鳥越にとってのこの作品の位置づけ、そして今回、松居が出演する可能性はあったのか? さらに玉置が国旗を演じる経緯について。
鳥越 自分はとにかく「本当に面白いと思うことをやれていたら」という気持ちがあります。ただ、僕は原作ものの舞台に出ることも多いですが、そこで出会ったお客さんに、ほかの演劇にも踏み込んでもらえたらいいなと思うんです。そうすれば、演劇の本質的な面白さは絶対に伝わると思いますし、僭越ですけど自分がそのきっかけになれたら。うまくいくことも、そうでないこともあるので、今もずっと模索しているところですけど。
玉置 じゃあこの舞台は、鳥越の中でどういう位置づけになりそう?
鳥越 ずっと応援してくださっているお客さんが、『極めてやわらかい道』(25年)を観たときに、原作ものでの僕から葛藤を感じたという声をいただくことがあったんです。でも少し落ち着いてから、「あれを観られてよかった」というお手紙をくださる方もいらっしゃいました。だから『ポルノ』もそうですが、焦らずに徐々にいろいろ枝分かれしていくように、さまざまな演劇をお見せできるといいのかな。
玉置 なるほどね。本質は一緒だけど、原作ものと比べると『ポルノ』は、鳥越の中での役割というか、意味合いはちょっと違うものにはなるのかな?
鳥越 そうですね。そういう作品がやりたくてゴーチに入ったということもありますし。
松居 鳥越を観に行くんじゃなくて、鳥越の出ている「作品」を観に行く、というような。
鳥越 はい。今もいろいろな舞台がありますし、チケット代も高いじゃないですか。その中で「鳥越が出ているものは面白い」と思っていただきたいし、『ポルノ』もきっと面白いと思って来ていただけたら、めちゃくちゃうれしいです。
玉置 あとさ、大悟にとって今回、自分が出演するという選択肢はなかったの?
松居 『イヌの日』(16年)のときはちょっと出たからね。でも、今回はなかったな。
玉置 僕は24年前に初演を観て衝撃を受けて、当たり前だけど、当時は「いつかこういう作品を演出したい、書きたい」ではなく、「出演したい」と思っていたから。
松居 自分も大学で演劇を始めた頃は役者しかやっていなかったけど、脚本を書いて演出するようになって、『ポルノ』を観た衝撃を思い出して「いつかやりたい」と思ったときは、「少年少女に電撃のようなものを与えたい」という気持ちが強かった。あのときの自分がそうであったように。
玉置 そうか。いや、役者として出たかったりもしたのかなって。役者としてこの作品に触れる取り組み方もあるし、大悟は作、演出、出演の全部をやっているから。
松居 でも、今日の本読みを聞いていてやりたくなったけどね。
玉置 僕は初演で伊達さんが演じる木村を観て、いつかは木村をやりたいと思っていたんですよ。伊達さんが好きなので。『ポルノ』を観たときも人柄を知らなかったし、ゴーチに入るときも「ビジュアル的に、自分は伊達さんのラインかな?」と勝手に思うところもあって。だから今回、「国旗をやっていいのかな?」とちょっと思った。
松居 いや、玲央はもう国旗だと思っていた。『ポルノ』の座長は国旗だと思うし、今回の座長は玲央がやるべきだと思っていたから。
玉置 確かに「いつか一緒に『ポルノ』をやろう!」と言っていて、やるとなって配役を見て、●●役だったら……。
松居・鳥越 (笑)。
玉置 いや、●●もいい役だけどね(笑)。
松居 まあ玲央とは、『イヌの日』(16年)からずっと一緒にやっているから、役とは関係なくみんなで作品を深めていきたいですね。台詞に書かれていない人物の背景とか、場と場の間になにがあったのかとか、みんなで話し合って。
玉置 誰のシーンであろうが、垣根なく意見を言い合ってね。
松居 そうそう。俳優もスタッフもフラットにいろいろ言い合いながら作る感じ。『イヌの日』のときよりみんな大人になっているから、あのときよりは、もうちょっとクールにやると思いますけど(笑)。やるべきことは、坂の多いあの町をみんなでどう捉えるかですね。


